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知る

on Dec 25 2025

【ブランドインタビュー】秋田木工株式会社

国内でも唯一無二といえる三次元の曲げ技術を持つ秋田木工株式会社。

秋田県湯沢市に工場を構え、多くのデザイナーともタッグを組み曲線美が目を引く家具を多数生み出しています。
今回は代表取締役社長の風巻穣さまにお話を伺いました。

 

曲木技術の流入と秋田木工の歴史

――秋田木工の歴史について教えてください。

風巻さん:秋田木工の歴史には、やはり「ブナ」という素材が豊富にあったことが大きく関係していますね。

明治時代に文明開化が進んで、日本にはカフェやレストランなど洋風の施設が増え、そこで洋風の椅子がどんどん使われるようになりました。
そうなった時に国としては、「国内にこんなに木がたくさんあるのに、なんでつくれないんだ」となったわけです。

 

その頃にドイツのミヒャエル・トーネット(1796年~1871)が発明した曲木の技術が日本にも流入し、秋田や東京のあちこちに工場ができたのですが
やっぱり材が近くにあるということ、そして人件費が安かったということが大きな要因となり秋田木工が最後まで残りましたね。

ブナは水分が多くて狂いも出やすいので構造材にも向かず、もともとあまり使われていなかったんですが、この曲木の技術が日本にやってきて日の目を浴びるようになりました。

 

――材料が確保しやすいというのは、非常に重要なポイントですよね。秋田木工の家具はどのような工程を経て完成するのでしょうか?

 

風巻さん:まず、製材所から材料を調達します。
次に家具のパーツごとに材料をカットし、曲げないものはそのまま加工・成形へ、曲げが必要なパーツは蒸気で蒸して鉄型にはめる工程へと分かれます。

加工は機械でやることが多いですが、やはり完全には難しく、人の手による作業も多いですね。
機械や同じ型を使って曲げ加工をしてもやはり誤差は出ますし、そこの調整はやはり職人の腕を頼る部分が大いにあります。だから大量生産もやっぱり難しい。
それが曲木製品の大変な部分であり、同時に大切にしている部分であるとも言えますね。

そのほかに研磨や組み立て、塗装をして家具が完成します。

 

――なるほど。加工の際、湿気など季節の影響も受けるものなのでしょうか?

風巻さん:ありますね。

曲げた材料は少し置いておくとすぐに元に戻ろうとするので、季節や気温もやはり影響してきます。

変形する前に加工を進める必要があるので、常に時間との勝負ですよ。時間に追われながらも、職人たちは長年の経験をもとに手に伝わる木の反応を読み取りながら日々より良いものをつくるために作業しています。

ほかにはない三次元の立体美を実現

 

――秋田木工の強みである曲げ技術が活かされた商品を多く生み出してこられたと思いますが、曲木家具の特徴についてはどうお考えですか?

風巻さん:うちだからできる個性的な形はもちろんそうですし、丈夫で長持ちするという特徴もありますね。
木は一度熱を加えて乾燥させると硬度が出るので、通常の板を使った家具よりも強度が高いです。
パーツ単位で強度が上がるぶん家具自体もスリム化できて、比較的軽くできています。
あとうちは修理もやっているので、直しながら1つ1つの家具を長く家具を使っていただきたいなと思っています。


 ――商品に共通しているコンセプトはあるのでしょうか?

風巻さん:古くから会社を続けているからこそですが、デザイナーさんとタッグを組んで商品開発することも増えたので、ここ最近は毎回違うコンセプトでつくっています。

ただ、デザイナーさんも曲げを活かした製品をつくりたいという思いがあって私たちとコラボしているわけなので、先ほども申し上げたように曲木製品ならではの強度や軽さは必然的に全ての商品で共通しているポイントになっていますね。

 

――多くのデザイナーさんとタッグを組まれている印象はたしかに強いです。
さまざまな家具メーカーや他の曲木ができるメーカーもあるなかで、デザイナーの皆さんは一番何を求めて秋田木工さんにお声がけされるのでしょうか?

風巻さん:そもそも曲木をやっているところが少ないのもそうですが、やはり私たちは二次元でなく三次元で木を曲げられるというところでお声がけいただいているかなと思います。三次元で木を曲げるというのはうちしかできないので、そこに興味を持っていただいていますね。

 

――商品開発にはどのくらい時間がかかるものなのでしょうか?

巻さん:どんなに早くても1年はかかります。

曲木でどこまでデザイン性を出せるのか、その辺りはデザイナーさんも知り得ない部分でもあるので、デザインの大枠をいただいたらこちらで可能な限り近づけられるように考えながら、何度かすり合わせを行ないます。

ただやっぱりつくる側として強度は一番保ちたいので、そこで課題が生まれた場合は曲げ方を変えたりいろいろ試行錯誤しながらやっていますね。

――強度面というところでもブナ・ナラは適しているということでしょうか?
ほかに使ってみたい樹種はありますか?

風巻さん:そうですね。

ブナの木が曲がるのは、道管の細胞壁がギザギザになっているので、折れ曲がるストローと同じ原理で曲がるんですよ。

そうやって三次元で曲げられるほどしなる木はそんなにないので・・・。
ケヤキなんかは比較的まだ曲げやすいかな。

大きく育つので一枚板のテーブルなんかも魅力的だなと思います。

現状でも8割は国産材を使って家具を作っていますが、秋田の家具メーカーとして、秋田や東北の材料を使って地産地消の仕組みづくりや付加価値を付けていきたいなという思いはやっぱりありますね。

 

秋田県産材のブランド化

 

 

――今後の展望や実現したいことはありますか?

風巻さん:国産材、できれば秋田県産材を使った家具をつくっていきたいです。

秋田は市場が小規模なので、秋田で採れた材料も岩手の方の大きな市場に流れることが多いんです。

そうなると岩手県産として出回るので、地産地消をアピールしづらくなってしまう。

もっともっと、秋田県産材のブランド化をできればいいなと考えています。

あとは、これまでうちが販売してきた商品を修理対応しながら、長くお客様にお使いいただくということを継続していきたいです。

そして、木材も有限資材ですしうちは商品の単価も少し高い分、お客様には納得感を持っていただけるような製法・品質は保っていきたいと思います。

――最後に、tokonoへのメッセージをお願いします!

風巻さん:国産材にこだわる家具のサイトはこれまでないものですし、国産材を普及させたいという思いは私も同じなので、率直に協業していきたいと思っていました。

また、私たちの家具づくりの工程は非常にこだわりがあって、時間をかけながら丁寧に行なっているのですが、実際に家具をつかうお客様からはなかなか見えない部分になってしまいます。

お客様が家具をつかううえでの安心感につながるよう、そう言った部分も一緒に発信してもらえると嬉しく思います。

 

 

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