木を知れば、家具がもっと面白くなる|ナラ編
家具材として長く親しまれてきたナラ。
「オーク」と書かれた家具を見て、ナラ材と何が違うのだろう、と感じたことはありませんか。
どちらも家具ではよく耳にする名前ですが、実はこれらはまったく別の木というわけではありません。
オークは、ヨーロッパや北米など世界各地に生育する樹木の呼び名。一方、日本の森にもオークの仲間が育っています。それが、私たちがナラと呼んでいる木です。
今回は産地や特徴の紹介を交えながら、ナラという木の魅力を紐解いていきます。
ジャパニーズ・オーク

実は、海外の家具やインテリアでよく耳にするオークとナラは深い関係があります。
オーク(Oak)は、ブナ科コナラ属を中心とした樹木の総称として使われる名前です。ヨーロッパや北米など、世界各地にさまざまな種類のオークが分布しています。
一方、日本に自生するナラも、同じコナラ属に属する樹木です。
つまり、ナラは日本で育つオークの仲間であり、英語では「Japanese Oak」と表現されることもあります。
家具の世界では「オーク材」という表記をよく目にしますが、そこにはヨーロッパ産や北米産など、さまざまな産地・樹種の木が含まれます。
国産ナラならではの、力強い木目

日本のナラは、北海道をはじめ、国内のさまざまな地域に分布しています。
特に北海道産のナラは、寒冷な環境のなかでゆっくりと成長することで、緻密で丈夫な木質を育むことで知られています。
ナラを見たときにまず目を引くのが、力強く現れる木目です。
まっすぐに伸びる木目のなかに、ところどころ浮かび上がる独特の模様。なかでも、虎の縞模様を思わせる「虎斑(とらふ)」は、ナラをはじめとするブナ科の木に見られる特徴的な表情です。
虎斑は、木の内部にある「放射組織」が板の表面に現れることで生まれます。
また、木のどの部分を、どの方向に切り出すかによっても、木目の表情は変わります。
1本の木から生まれる、1枚1枚異なる表情。
そこには、その木が育ってきた時間だけでなく、木取りを行う職人の判断も映し出されています。
硬さと、穏やかな美しさ

ナラは、家具材のなかでも比較的硬く、耐久性に優れた木です。
テーブルやチェア、キャビネットなど、日々の暮らしのなかで長く使われる家具に適しているのは、そのしっかりとした木質があるから。
一方で、ただ「硬くて丈夫」なだけではありません。
ナラの木肌には穏やかな温かみがあり、明るすぎず、落ち着きのある色合いも魅力です。
空間のなかで主張しすぎることなく、周囲の素材や家具とも自然になじむ。それでいて、近くで見ると木目の濃淡や虎斑など、豊かな表情を感じることができます。
このバランスのよさが、ナラが家具材として長く選ばれてきた理由のひとつなのかもしれません。
また、ナラ・オークの用途は家具だけにとどまりません。古くから知られているのが、ウイスキーの熟成に使われる「樽」です。
ウイスキーは、蒸留した後に木製の樽で長い時間をかけて熟成されます。その樽にはナラ・オークが使われることが多く、木の成分がウイスキーに少しずつ影響を与えることで、香りや色、味わいに変化が生まれます。
ナラの木は家具として私たちの暮らしのそばにあるだけでなく、食の面でも身近に使われている木なのです。
ナラを選ぶということ

硬く丈夫でありながら、触れたときには木らしい穏やかさがある。木目にはしっかりとした存在感がありながら、空間に置くと不思議と馴染んでいく。
華やかさだけを求めるのではなく、使い続けることで分かってくる良さを大切にしたい人に、特に相性のいい素材です。
知れば知るほど、家具はただの「もの」ではなく、素材やつくり手の仕事まで含めて、じっくり選びたくなる。
そんなふうに、木を知ることから家具を選ぶ楽しさも、見つけてもらえたらと思います。