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知る

2026年1月30日

木を曲げる技術が生む、美しい家具

木は硬く、まっすぐな素材。

多くの人がそうしたイメージを思い浮かべるかもしれません。

しかし木は本来、削ることや組むことだけで形づくられる素材ではありません。

熱や水分を与えることで、木はしなやかさを取り戻し、ゆっくりと曲がっていきます。

その性質を丁寧に引き出し、形にする技術が「曲木(まげき)」です。

今回は、木の可能性を無理なく広げる曲木の奥深い技法をご紹介します。


1.曲木家具ができるまで

曲木家具ができるまでの工程をざっくり分けると、以下のようになります。

①木材に蒸気や熱を加えて繊維を柔らかくする

②型に沿わせながら曲げていく

③乾燥

④大まかなラインの削り出し・組み立てに必要な加工

⑤研磨

⑥組み立て・塗装

曲木は削り出しとは異なり、木の繊維を断ち切らずに形を変えるため、木が本来持つ強さを保ったまま、美しい曲線を描くことができます。

見た目の軽やかさと、構造としての強度。

その両立こそが、曲木の大きな特徴です。

こうした曲木の技術は、ドイツのミヒャエル・トーネット(1796年~1871年)によって発明され、主にチェアをつくる技術として大きく発展しました。

明治時代には日本にも曲木技術が流入し、現在まで受け継がれています。

 

2.曲木家具の魅力

曲木家具が放つ魅力は、何よりもその美しい曲線とデザイン性の高さにあります。

直線では生まれない立体感のあるフォルムが、確かな存在感を空間で発揮します。

ほかにも部材を一体で成形できるため、接合部が少なく、構造的に安定している点も特徴です。

つなぎ目が少なければ少ないほど手触りも良くなり、体の動きに沿うフォルムは、日々の使い心地の良さにもつながります。

見た目の美しさと日常で使い続けるための強さを、どちらも損なうことなく兼ね備えています。


3.曲木に向いている樹種

曲木には、繊維が細かく、水分の多い粘りのある木材が適しています。

代表的な樹種として挙げられるのが、ブナ、ナラなどの広葉樹です。

ブナ:優しい木目の風合いが特徴的な木。粘りがありまげに強く、家具はもちろん太鼓の胴にも使用されています。

 

ナラ:堅く、しっかりと質感の木。高い耐久性を誇る銘木としてジャパニーズオークともいわれています。

 

これらの木は、蒸気によって柔らかくなりやすく、曲げた後も安定した形を保ちやすい性質を持っています。

tokonoでもブナとナラを使った曲木のチェアやテーブルを取り扱っています。

 

4.職人の技術と難しさ

曲木は、木の特性を慎重に読み取らなければならない、非常に繊細な技術です。

条件やタイミングを誤れば、木は割れたり、元の形に戻ろうとしたりします。

蒸した木材が柔らかいうちに形を決める必要があるため、作業にかけられる時間はわずか5分。2人がかりで曲げの作業をおこなうこともあります。

含水率、温度、蒸す時間、曲げる速度。

それらすべてを見極めるのは、数値だけでは測れません。

長年の経験に裏打ちされた職人の感覚が、1本の美しい曲線を生み出しています。

 

 

5.おわりに

曲木は、木が本来持つ力を無理なく引き出す技術です。

しなやかでありながら芯のある強さを備えた曲線は、暮らしの中で静かに、その価値を語り続けます。

私たちの体になじむ柔らかなフォルムと、自由度の高いデザインで空間にアクセントをもたらしてくれる曲木家具は

きっと長く使い続ける暮らしの中で喜びを与えてくれるのではないでしょうか。

 

こちらも合わせてご覧ください:【ブランドインタビュー】秋田木工株式会社
tokonoでは、日本で唯一無二と言われる3次元の曲げを得意とする曲木家具メーカー「秋田木工株式会社」へのインタビューも実施しています。