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知る

2026年6月04日

【ブランドインタビュー】株式会社ササキ工芸

旭川の地から世界へ、職人の技が詰まった木工クラフトを届けるササキ工芸。

tokono初となるリアルイベント「POPUP in KYOTO tokono×sasaki×Taisetsu」のため、旭川から2名の職人さんが駆けつけてくださいました。

長い間現場を見てこられ、そして現在は国内外への販売と供給を支える三野宮さん、関根さんのお二方に、ブランドの舞台裏をじっくりとお聞きしました。


世界が驚くクオリティ。なぜ靴べらとオセロがこれほど売れるのか?

――ササキ工芸さんの商品で、もっとも人気な商品は何ですか?

三野宮さん:靴べらですね。これはもう、どこに出しても売れるんですよ。

なぜか売れるんだよなあ。売り上げ本数も金額も、うちの商品の中で今、絶対的に一番人気なのは間違いなく靴べらです。 

ポップアップなんかでも、最後はほぼ完売しますね。特にご年配の方からは、立ったまま使えるのが非常に便利だという声をよくいただきます。

海外のお客様にも大変好評な商品です。

右:Comfy shoehorn【short】¥11,000 商品ページはこちら
左:Comfy shoehorn【regular】¥16,500 商品ページはこちら

 

――海外からも、かなり大規模な注文が入っているそうですね。

三野宮さん:昨年末、中東のバーレーンの金融関係企業からオセロの「リバーシ」を100台、ノベルティとして使いたいと突然メールが来たんです。

金額にすると約400万円で、しかも納期は1ヶ月ちょっと。予定を全部ひっくり返して対応しました。

関根さん:リバーシは1台に64個のコマが必要なんです。100台分となると、合計で6,400個ものパーツを仕上げなきゃいけない。

現場は本当に大変でしたけど、予定を全部ひっくり返してやり遂げました。無事に納品が確認できた時はホッとしましたね。

 

――150万円のチェスが売れたという話も伺いました。

三野宮さん:そうなんです。ドバイの王族関係の方への訪問のお土産として、150万円のチェスが売れました。やっぱり規模が違いますよね。

ロサンゼルスで開催したポップアップでも、丁度トランプ関税の影響があり物流トラブルで商品が届くのが遅れたにもかかわらず、最終的にはほぼ完売しました。

シンガポールやロス、そして中東でも「日本の良いものを買おう」という需要は、私たちが想像する以上に強いと感じています。

Wooden reversi ¥39,600 商品ページはこちら

 

CHESS SET ¥1,650,000 商品ページはこちら


徹底した「手触り」へのこだわりと、20人の職人集団という“ニッチ”な強み

――製品を拝見すると、どれも角がなくて滑らかです。デザインのこだわりを教えてください。

三野宮さん:うちが一番大事にしているのは、「手触り」なんです。触った時の感触、仕上げの質感をすごく意識していて、そこに一番手をかけています。

木の良さである丸みや温かみを活かすために、角がないデザインを重視しています。

デザイナーともそのスタンスを共有して、ほとんどの工程を職人の手作業で仕上げているんですよ。

 

――スタッフ20名という規模で小物クラフトに特化しているのは、全国的にも珍しいのでは?

三野宮さん:そうですね。小物を扱う木工所は、12人でやっている工房レベルが圧倒的に多いです。

うちのようにスタッフが20人いて、法人として量産できる工場は全国的にも他にない。そこは非常にニッチな部分だし、うちの強みだと思っています。


リブランディングの決断ー「10年先」を見据えた変革

――5年前に大きなリブランディングを行われましたが、その背景には何があったのでしょうか?

三野宮さん:当時は業績が悪かったわけではないんです。でも、10年先を見た時に「今のままでは絶対厳しくなる」という数字が見えていた。

だから、余力があるうちに変わらなきゃいけない、と。 

外部のデザイナーを招き、製品だけでなくインナーブランディングも根本から見直しました。

一番の目的は、しっかりと利益を出せる体質にして、『ここで働きたい』と思う職人が育つ環境を作ること。

ブランディングはただお洒落にするためではなく、技術を次世代へ繋ぎ、会社を存続させるために不可欠な『投資』だったんです。

■工場の変化

  

 

■ロゴの変化

 

 

 

――商品開発はどのように進めているのですか?

三野宮さん:まずはスタッフが「自分が欲しいもの」「使いたいもの」を考えるのが出発点です。

そこからデザイナーと話し合いながら形にしていきます。やっぱり自分たちが「これいいな」と思える熱量がないと、いいものは作れませんから。

 

――外部のデザイナーさんとのやり取りは、時にシビアなこともあると伺いました。

三野宮さん:そうですね。デザイナーはプロとしてのプライドがありますから、細部にも一切妥協しません。

たとえば、私たちはつくり手として「ここは既存の刃物に合わせて、カット2(の角度)でいいじゃないか」と言いたくなる。

しかしデザイナー目線で大切なのは、求めているデザインをいかに実現するかですよね。

「それではデザインが崩れる。絶対にカット3にしてくれ」と最後までクオリティを諦めることはありません。

 

――そこまで細かな部分で意見がぶつかるのですね。

三野宮さん: 色ひとつ取ってもそうです。ある商品の「青」の出方がデザイナーの理想と少し違うだけで、もう5年も議論し続けて、いまだに完成していない商品もあるくらいです。

正直、私たちからすれば「これで十分いいじゃないか」と思うこともあります(笑)

でも、デザイナーがそこまでこだわるからこそ、世に出たときにかっこいい、整った製品になる。

そのプロフェッショナルな姿勢を私たちは尊敬しているし、だからこそ信じて一緒にやっているんです。

 

――近年は国産材の活用も進めていらっしゃいますね。

三野宮さん: ウッドショックや世界情勢の影響で、輸入材が5倍、7倍と高騰しています。

そんな中で国産材に目を向けたのですが、実は国産材に多い細い「小径木」は、うちが作っている小物と非常に相性がいいんです。

最近の家具屋さんはコストの関係で合板やシート材を使うことが増えていますが、うちは絶対に「無垢材」を使います。

そうなると、実は家具屋さんよりも、うちの方が無垢の木を使っている量が多いかもしれないんですよ。


お客様ファースト、そしてtokonoへのメッセージ

――現場での「ものづくり」で大切にされている精神を教えてください。

三野宮さん:一番大事にしているのは「お客様ファースト」です。お客様に喜んでもらって、正当に評価してもらう。そのために商品作りをしっかりやる。

これに尽きますね。

店頭に立つと、「この商品のここが好き」という評価だけでなく、「もうちょっとこうだったら欲しいのに」という切実な生の声を聞くことができます。

こうした要望をただの意見で終わらせず、必ず工場に持ち帰って次の商品作りに反映させています。

 

――最後に、国産材の魅力を届ける「tokono」へメッセージをお願いします。

三野宮さん:我々つくり手からすれば、北海道の材料を使った製品を、こうして丁寧に紹介して世の中に広めていただけるというのは、本当にありがたいことなんです。

ただ、Webけではお客さんに知ってもらうのはなかなか難しいですよね。

だからこそ、今回のようなポップアップや展示会など、リアルな現場にどんどん顔を出して、自分たちの言葉で語り、露出を増やしていくことが何より大事です。

自分たちで売るのが一番売れるし、熱量も伝わります。

認知されるまで時間はかかるかもしれませんが、地道に続けていけば必ず評価されます。

私たちも北海道の材料を使った製品を通じて、一緒に国産材の魅力を世の中に広めていきたいです。これからの挑戦を応援しています。