【ブランドインタビュー】チヨダコーポレーション
広島から生まれる「眠りのかたち」
広島県で創業してから60年。
ウレタン加工から始まり、いまでは国産ヒノキを使ったベッドやマットレスを手がけるチヨダコーポレーション。
カタログ通販の全盛期を経て、現在は売上の大半をインターネット販売が占めています。
販売チャネルは大きく変わりましたが、同社が一貫して守り続けてきたのは「安心して長く使える品質」「自社でやり切るスピード感」です。
社長自らデザインを手がけ、木目や色味にまでこだわり抜く姿勢には、ものづくりへの誠実さが表れています。
国産ヒノキベッドのトップランカーとしてひた走る、チヨダコーポレーションならではの哲学と挑戦について、今回は営業の砂田龍哉さんにお話を伺いました。

ーーまずは、会社の歴史について教えていただけますか?
砂田さん:1965年の創業当初は「千代田興産株式会社」として誕生し、ウレタンの加工を生業としていました。
ベッド専門メーカーとして舵を切ってからは、マットレスを自社工場で製造するようになりました 。
ーーなぜ、思い切ってベッドメーカーへ移行されたのでしょうか?
砂田さん:当時の経営陣が「ベッドは買い替え需要は少ないけれど、それだけ競合も少ない。参入障壁は高いが、逆にチャンスがある」と判断したそうです。
ベッドは1~2年で買い替えるようなものではなく、今でもベッド専門メーカーというものは意外と多くありません。
結果的にその戦略が功を奏し、現在のチヨダコーポレーションの土台になりました。
ーー長い歴史のなかで、事業のスタイルも時代とともに変化してこられたのですね。販売スタイルにも変化があったでしょうか?
砂田さん:大きく変わりましたね。
昔は百貨店の折り込みチラシに合わせて、何百本単位のベッドを一斉に納品していたそうです。
そのチラシが出る週末にドッと売れる。倉庫に並んだベッドが、あっという間になくなっていくのだと先輩から聞いたことがあります。そのあとでカタログ通販の時代が来ました。
とある通販会社さんとは数千本単位での取引があり、1社だけでもかなりの規模で売上があったほどです。
「実物を見ずに物を買う」という文化が定着し始めたのも、この時代だと思います。その後は、ネット販売に軸足を移していきましたね。
現在では売上の8割がネット経由です。自社ECサイトだけでなく、楽天やAmazonにも出店し、幅広く展開しています。
カタログ通販の経験があったので、「写真と説明文だけで買っていただく」という点では比較的スムーズに移行できました。
国産ヒノキへのこだわり

ーー国産ヒノキを使い始めたのはいつごろからでしょうか?
砂田さん:20年ほど前までは海外からの輸入材を主に使っていました。
しかし、品質管理のしやすさから国産のヒノキを使うようになり、徐々にヒノキを中心とした製品ラインにシフトしていきました。
私たちが作るベッドには厳格な品質基準を設けていますので、材料についても打ち合わせや検品が簡単な日本国内の材料を使おうということになりました。
たとえば、調達した材料にたまたま節が多く入っていて強度に不安が生じた場合も、国内ならすぐに打ち合わせでき、対応が可能です。
私たちがベッドをつくる際に使用するヒノキは、島根県産や高知県産が多いですね。小径木を活用しているため、コストも抑えつつ、環境にもやさしいのが特徴です。
ーーなるほど。「国産」にこだわることでさまざまなメリットがあるのですね。ヒノキという素材をベッドに使う良さについては、どうお考えですか?
砂田さん:ヒノキは防虫効果も高く、安心して長くご使用いただけます。また、香りも非常にリラックス効果があるため、疲れを癒すためのベッドと非常に相性が良いと考えています。

妥協のない品質とデザインの両立
ーーネット中心になった今でも、品質基準は昔と変わらないのですか?
砂田さん:むしろ厳しくなっているかもしれません。ネットだとレビューという形でお客様の声がすぐ返ってきます。だからこそ、1つ1つの製品に対して妥協が許されません。
強度試験や耐荷重試験も徹底していますし、多少コストがかかっても品質は落とさない。それが結局、私たちの信用に繋がると考えています。

ーーチヨダコーポレーションさんのデザインは、シンプルでありながら個性がありますよね。
砂田さん:ありがとうございます。実は、商品のデザインは弊社の社長自らが手がけています。
化粧板のシートの色や木目も、シートメーカーさまと一緒に試作を重ねて開発する場合もあります。
海外の展示会に足を運んで感じたトレンドを反映することもあるみたいです。
1番の特徴は、その意思決定の早さだと思います。社長が「これでいく」と決めれば、それで開発が動き出す。だからブレがなく、スピード感をもって商品化できます。
これも弊社の強みの1つだと感じますね。

ーーマットレスのこだわりについても教えてください。貴社の製品は「分厚すぎない」のが特徴だと伺いましたが、いかがでしょうか。
砂田さん:今は海外製の分厚いマットレスが人気ですが、私たちは「厚みがあればいいとは限らない」と考えています。
厚みがあるほど体を支えてくれそうな感じがしますが、実はそうではないんですよね。
私たちのマットレスの多くはポケットコイルですが、体のラインに沿って沈み込む点が1番の良さです。
しかし、その上に分厚いウレタンを重ねてしまうとその特性が失われてしまい、かえって体の負担に繋がりかねません。
だから私たちは、あえて分厚くしないようにこだわっています。「快適に眠れること」「長く使えること」を大切にしています。
ーーなるほど。マットレス選びのポイントは何かあるのでしょうか?
砂田さん:体重、寝る姿勢や体の向きによってマットレスの適切な硬さは異なるため、選ぶ際はそれが判断基準になるかなと思います。あとは個人の好みですね。
横向きで寝ることが多い人は、硬すぎると押し返しが強くなってしまうので少し柔らかめがおすすめだったりします。
ーー新たにショールームをオープンし、さらにイベントにも参加されていますよね?
砂田さん:今年の2月と6月に、RAYARD MIYASHITA PARKにて展開されている「THE [ ] STORE(ザ・ストア)」に期間限定で出展しました。
販売当初から高い評価を受けている源ベッド人気No.1マットレスの「咲夜レアルマットレス」や国産ヒノキのベッドを展示し、多くの方に実際に寝心地を体験していただきました。
また、広島県の本社横に新たに社屋を建て、ショールームをオープンしました。
ベッドは、実際に寝心地を試して購入したいものだと思うので、工場の拡張とともに、ショールームを用意したいと考えていまして、ようやく実現できました。
ーー実際に体感できる機会が増えるのは、お客さまとしても嬉しいはずです。
海外の展示会へもご出展されていましたね。
砂田さん:出しました。海外に出すのはやはり国内よりも大変な点が多いですが、新しいお客さまと出会うために積極的に取り組んでいます。
これからはアメリカ市場への進出も検討しつつ、既に展開しているアジア以外の市場へチヨダコーポレーションのベッドを広めていきたいと思っています。
ーーこれからのご活躍がますます楽しみです。最後に、tokonoへのメッセージをお願いします!
砂田さん:国産材のみに焦点を当てたECサイトというのは、ありそうでなかったものだと思います。
初めてお話を伺った時は、率直に面白そうだなと思いました。
私たちが日頃接しているお客様の層と、また違ったお客様との接点になっていただけるのではと期待しています。
そうした新しいお客様の声を聞き、一緒に商品開発ができたら嬉しく思います。
まとめ
百貨店の折り込みチラシからカタログ通販、そしてネット販売へ。販売スタイルは大きく変化しても、チヨダコーポレーションの根底にあるのは「品質への誠実さ」と「スピード感ある開発姿勢」だと感じました。
社長自らがデザインを行い、国産ヒノキを使った安心のベッドを生み出し続ける。その一貫性が、60年の歴史を支え、次の時代へとつながっています。
ぜひ、あなた自身の体で、その確かな品質と寝心地のよさを感じてみてください。