【ブランドインタビュー】グラムスタイル
ラグで暮らしに“幸せな変化”を。
グラムスタイル片岡社長が語る、挑戦と未来
「いつもの暮らしに、ちょっとでも幸せの変化を感じていただく」。
家具・ラグ・インテリアを通じて魅力的なライフスタイルを提案してきたグラムスタイル。
創業から13年を迎えた今、どのように事業を築き上げ、これからの未来を描いているのでしょうか。
今回は、代表取締役社長の片岡謙さんにお話を伺いました。

起業のきっかけと創業ストーリー
ーー会社を立ち上げる前はどのようなお仕事をされていたのですか?
片岡さん:家具業界に20年ほどいました。商品の仕入れを担当していたのですが、「実店舗だと売り場面積に限りがあって、並べたい商品を置けない」という 悩みが常にありました。
そこで、ネットなら制限なく商品を並べられると感じて、13年前に脱サラして会社を立ち上げました。
当時は本当に1人で始めたんです。資金もなくて、頼れるのは今までお付き合いのあったメーカーさんとのツテだけでした。
まずはカタログに載っている商品を仕入れて、ネットショップを立ち上げたんです。
ーー当時のネットショップ業界はどんな状況だったのでしょうか?
片岡さん: 当時は、メーカーのカタログをそのままネットに載せて販売するのが一般的でした。カーペット業界もそうでしたね。
そこで私たちは、あえて全ての商品を自社で撮影し直し、無料サンプルも用意しました。そうした付加価値が喜ばれ、成長につながったんです。
その後は中国やインドに多くの協力工場を持つまでに拡大してきました。
ーーグラムスタイルのコンセプト、そして社名に込めた意味について教えてください。
片岡さん: コンセプトは「いつもの暮らしに、ちょっとでも『幸せの変化』を感じてもらえる商品を提供する」です。
便利さや快適さ、癒しを提供できる商品をつくりたいと思っています。
社名についてもよく「100“g”のグラムですか?」と間違えられるのですが(笑)、そうではありません。
「グラマラス=魅力的」という言葉からとって、“魅力的なライフスタイルを提案する”という意味を込めています。
世界の暮らしから学ぶトレンド

ーー片岡さんは海外にも頻繁に出張されているそうですね。どのくらいの頻度で行かれているのですか?
片岡さん: 出張はだいたい年間20回くらいですね。
仕入れだと中国とかインドが多いですが、市場調査で韓国やヨーロッパ、アメリカにも行きますよ。

(写真)海外展示会で生地やデザインを確認する片岡社長。
ーー実際に現地を見て、日本との違いをどう感じていますか?
片岡さん: 日本はラグを「実用品」として買う方が多いんです。だから洗えるとか、遊び毛が出にくいとか、汚れにくいとか、そういう機能性がすごく大事にされる。
一方で海外は「インテリア」として買うので、素材やデザインにこだわるんです。
だから日本ではポリエステルやナイロンといった化学繊維が合ってますけど、海外だとウールやコットンといった天然素材が好まれますね。
ーーヨーロッパ市場についても教えてください。
片岡さん: ヨーロッパは「古いものを大事に使う」という文化が根付いてます。ちょっとサイズが違ったり傷があったりしても気にしない。
それよりも安全性やデザイン性、そしてサステナブルかどうかが重視されます。
リサイクル素材を使っているかどうかも重要で、サステナブル要素がないと商品だけじゃなく、会社そのものが評価されないんですよ。
これは現場に行って本当に実感しましたね。
ーー各国を見て回る中で、中国製品についての印象も変わったそうですね。
片岡さん: そうですね。日本ではまだ「中国製=安かろう悪かろう」というイメージがあると思いますけど、実際に現地の工場を見ると品質の高いところもたくさんあるんです。
「中国製は品質が低い」という先入観は持たない方がいい、とすごく感じました。
実際に行ってみて学ぶことが多いですね。
2〜3か月で形にする商品開発のスピード

ーーグラムスタイルの大きな特徴のひとつが、商品開発の速さだと伺いました。
片岡さん: はい。うちは平均すると2〜3か月で企画から販売まで進めます。業界だと半年から1年かかるのが普通なんですが、それよりもかなり早いと思います。
ーー初めてのオリジナル商品「シフォン」もスピード感を持って開発されたそうですね。
片岡社長: そうなんです。
シフォンは「ふわっと柔らかい手触り」をシフォンケーキにたとえて名前を付けました。
立ち上げ当初は資金も限られていたので、とにかく確実に売れるものを狙って作りましたね。試作は2回ほどで、最初は6色展開からスタート。
今では色数も増えて人気シリーズになっています。やはり白やベージュ、グレーといったベーシックな色が人気ですね。
(写真)シャギーラグ「シフォン」〈130×190cm/グレージュ〉
tokonoでも扱っている人気カラーです。ふわふわの手触りが魅力で、思わずずっと触ってしまいます。ほかにもライトグレーやミルクティの色展開があります。
ーー商品開発はどのような体制で進めているのですか?
片岡さん: 私と女性スタッフ2名を中心にしています。
店舗のスタッフから「こんな商品が欲しい」という声をもらったり、お客様のレビューを参考にしたりします。
新商品開発のときは、主婦層やペットを飼っている方など、実際に使う人に集まっていただいて意見を聞くこともあります。生活者の声を取り入れることは大事にしています。
ーー開発の中で難しいと感じることはありますか?
片岡さん: 工場で職人さんの思いや背景を聞くと、「これはぜひ売りたい!」という気持ちが強くなってしまうんです。
でも思い入れが強すぎると、価格が上がってしまったり、実際には売れなかったりすることもある。
最終的には価格とコストパフォーマンスを重視し、冷静な判断をするようにしています。思いと現実のバランスを取るのが難しいですね。
暮らし全体をデザインする視点

ーーこれからのグラムスタイルが目指す姿を教えてください。
片岡さん: 会社の規模をどんどん大きくしていくことには、実はそれほどこだわっていないんです。それよりも「中身の良い筋肉質な会社」をつくりたいと思っています。
単にモノを売るだけではなくて、暮らしや空間そのものを提案する会社へと進化させたい。
購入前から購入後、そして次の買い替えのタイミングまで、お客さまにずっと寄り添えるようなサービスを目指しています。
ーーそのような未来を実現するために、どんな取り組みをされていますか?
片岡さん:去年、家具EC「家具350」を運営する株式会社イーナと業務提携を結びました。
単体の商品ではなく、家具とラグを組み合わせて空間として提案する体制を強化しています。
社内でも「うちで買い物をしていただく体験価値を上げていく」ことに最も力を入れていて、売って終わり・問い合わせ対応で終わりではなく、
探す段階から次の買い替えまで継続的に伴走できる形を目指しています。
国産材ECへの期待
ーー私たちは新しく「国産材の魅力を伝えるECサイト」をスタートしました。第一印象として、どう感じられましたか。
片岡さん: とても興味がありますね。日本の四季を一緒に経験してきた木材でつくられた家具には、やっぱり特別なぬくもりがあります。
手に取ったときに「どこか懐かしい」「自然と安心できる」そんな感覚を覚えるんじゃないでしょうか。
ーー日本製という点についてはどう思われますか?
片岡さん: 日本製が選ばれること自体、とても心地よいことですし、本来目指すべき姿だと思います。ただ「日本製だから良い」だけでは伝わりにくい。
実際に触れたときの質感や、暮らしの中で長く使える安心感――そうした具体的な魅力をしっかり届けてこそ、多くの人に伝わると思います。
ーー最後に、tokonoに期待することをぜひ教えてください。
片岡さん:日本のものを売っていくことはとても良いことだと思う反面、さきほど言ったように、きちんと付加価値、たとえば機能や耐久性などで差別化できることが重要だと思います。
商品のもつストーリーや背景について、買い手の感情にしっかり響くようなサイトを作っていただきたいと思います。
今回のインタビューも、読んだ人が「あ、これは自分の暮らしに迎えたい」と思うきっかけになるようなページにしてもらいたいです。
まとめ
片岡さんのお話を伺って感じたのは、グラムスタイルが“暮らしの景色を少し変えてくれるブランド”だということ。
世界で得た感覚をスピーディに形にし、空間ごと提案する視点を持っているからこそ、商品を手にしたときに「これ、いいな」だけではなく「この先の暮らしが楽しみになる」と思えるのだと思います。
そして何より印象的だったのは、片岡さんご自身のまっすぐな姿勢です。流行を追うだけではなく、暮らしに寄り添うものをどう届けるかを本気で考えている――その人柄が、グラムスタイルというブランドの温かさにつながっているのだと感じました。