2026年1月28日
未来の森林、国土のために。 ”TSUYAMA FURNITURE” (3/3)
山から出された丸太が市場で選別され、製材所で板になる。
そのバトンを最後に受け取るのが、津山市を拠点とする4社の木工メーカーです。
2019年に誕生したブランド「TSUYAMA FURNITURE」。
行政、デザイナーの石井聖己氏、そして個性の異なる4つの企業が手を取り合い、「ここでしか生み出せない家具」を世界へ発信しています。12月23日、ショールームと各社の手仕事を見学してきました。
日本一のヒノキの産地から、世界へ

岡山県の美作(みまさか)地域は、日本有数のヒノキの産地です。ヒノキの生産量は日本随一。「建材」として家を支えてきたこれらの木材を、もっと肌で感じられる「家具」として届けたい。そんな想いから始まったこのプロジェクトは、2023年度にグッドデザイン賞を受賞し、今やコペンハーゲンなど海外の展示会でも高い評価を得ています。
「TSUYAMA FURNITURE」を支える、4社のスペシャリストたちをご紹介します。
有限会社松永建材店

TSUYAMA FURNITUREのショールーム拠点でもある有限会社松永建材店。その歩みは、戦後まもなく、創業者・松永辰二氏が左官材料を扱う店を立ち上げたことから始まりました。
かつての家づくりは、職人の手仕事が結集したものでした。柱の間に竹を編み(木舞竹)、壁を塗り、五右衛門風呂や台所の流し、さらには煮炊きをする「竈(かまど)」まで、左官職人が作り上げていた時代。
その後タイル張りの五右衛門風呂はユニットバスと温水器へ、 かまどはシスムテムキッチンへと変わり 松永建材店の取扱商材も、時代と共に変化していきました。
「TSUYAMA FURNITURE」においては、「ヒノキのコンパクトキッチン」を製作しています。
長年培ってきたオーダーキッチンのノウハウを活かしてつくられたアイランド型のコンパクトキッチン。「TSUYAMA FURNITURE」のソファなどと共通のデザインを特徴として、ヒノキの板目を外板にあしらっています。棚も三段に配置し、収納性や機能性も確保した、コンパクトなキッチンです。
「TSUYAMA FURNITURE」のショールームは松永建材店の敷地にあり、ブランドの世界観をより深く感じつつも実際の暮らしをイメージしやすいように、リビング・ダイニング・キッチンの構成に合わせてスタイリングされています。

ヒノキのなめらかな手触りや、美しい木目に触れることができます。また、小物も地元のものをこだわってセレクトされています。
株式会社イマガワ

次にご紹介するのは、株式会社イマガワです。
建具(ドアや戸)の世界で、「無垢材」を扱うことには難しさがあります。なぜなら、木は製品になった後も呼吸をし、環境によって反ったり割れたりするからです。
1949年創業のイマガワは、その難題に正面から挑み続けてきました。2002年には無垢扉ユニットの製造販売に踏み切り、反り・ネジレ・割れのない高品質な無垢扉を追求してきました。日本文化を基調に美しく研ぎ澄まされた造形美を持ちつつ、百年後までスムーズに動き続けるような耐久性もあるような製品を作るため、日々細部にこだわったものづくりをされています。

木を見ながら、丁寧に加工していきます。
「TSUYAMA FURNITURE」においては、テレビボード、折りたたみテーブル、飾り棚、おさら、トレイなどを製作しています。
スリットや面材の仕上げに、建具づくりで培ってきた匠の技が光ります。

細かい作業にも手を抜きません。

ヒノキの飾り棚。ノックダウン式の飾り棚です。ヒノキの木目が一直線に通るように材を貼り合わせ制作しており、組み立ても簡単にでき、野外の展示などでも使用できます。 商品ページはこちら

スギの格子ボード。職人が一つ一つピッチを合わせて仕上げており、格子のおかげでデッキなどの表示を完全に塞ぐことなく家電機器などの表示ノイズを軽減させます。 商品ページはこちら
株式会社すえ木工

続いてご紹介するのは、株式会社すえ木工です。
1945年の創業以来、津山市の自社工場で一貫生産を続けている株式会社すえ木工。その歴史は、かつて日本の家庭の象徴であった「婚礼箪笥(だんす)」の製造から始まりました。
時代の移り変わりと共に、その高い技術は「壁面収納家具」へと形を変え、今では一般家庭用から学校・施設向けの特注家具まで幅広く手掛けています。
また、家具の塗装技術の活用から別業種であるRIM事業部を立ち上げ、建農機の外装パーツ、住宅用の浴槽パン等といった、特殊大型プラスチックの成型・二次加工から塗装までの一貫生産も行っています。

主力の収納の工場ラインは自分たちで配管までを行い、スペースを小さくすることで移動時間などのロスを減らし、効率が大きく上がったそうです。

無垢家具の工場ラインでは細部の加工にこだわっている姿が印象的でした。
「TSUYAMA FURNITURE」においては、ヒノキのパーテーション、ヒノキのダイニングテーブル、ヒノキの横につながるチェアなどの製作を担当しています。

ヒノキのダイニングテーブル。脚と天板の接合が特徴的なラウンドテーブルです。時を重ねるほどに味わいを深め、ヒノキそのものの重厚さと柔らかさを兼ね備えています。 商品ページはこちら

ヒノキのラウンドスツール。アアルトのスツール60をオマージュし、ヒノキで制作するとどうなるかをトライしたスツールです。ヒノキなどの針葉樹は強度が低いため、どういう構造のアプローチで実現できるかを検討し制作しました。 商品ページはこちら
有限会社髙橋工芸

続いてご紹介するのは、有限会社髙橋工芸です。
1977年(昭和52年)創業。その原点は、木札、護摩木、絵馬といった、人々の願いや祈りを支える「特別な木製品」の製造にありました。
現在は2代目・高橋拓己社長のもと、受け継がれた職人の技術に最新のレーザー彫刻技術を融合。2025年には「森林認証」を取得するなど、環境への配慮と確かなクオリティを両立させた、次世代のものづくりを突き進んでいます。

慎重に材を選んで加工している姿が印象的でした。

木札・護摩木・絵馬等、細かいものの製作を得意とされています。
創業から40年以上。
髙橋工芸は、神社仏閣向けの木札や絵馬を作り続けてきました。
決まった形のものだけを作るのではなく、様々な要望に合わせて製作を行っています。
必要な分だけ、小ロットでも対応可能。
この柔軟さを支えているのが、製材から加工まで一貫して行う体制と、多様な設備です。
素材には、岡山が誇る美作桧(みまさかひのき)をはじめ、色が白く加工しやすいスプルース材、スギなど、用途に応じた木材を使用しています。
形状も、一般的な長方形に限らず、サイズの細かな調整や、丸型・六角形といった特注形状にも対応できます。
人の願いを託す「小さな木製品」を、長年つくり続けてきた髙橋工芸。
ものづくりの技術と、現場への深い理解。その両方を併せ持つ点に、髙橋工芸ならではの価値があります。
「TSUYAMA FURNITURE」においては、ヒノキのナイフスタンド、ヒノキのブロックソファ、ヒノキのトリペットなどを製作しています。

ヒノキのブロックソファ。ヒノキの板の上にウレタンブロックを配置したソファ。背板を特徴的に配置し、リズム感のある構成でデザインしています。背面のヒノキの大きな面は心地よく空間を仕切ってくれるため、壁につけないで部屋の中心に配置してみてください。 商品ページはこちら
山と暮らしを繋ぐ、ということ

「TSUYAMA FURNITURE」の家具に触れて感じたのは、「触れたくなる造形」というテーマ通りの心地よさでした。
私たちのECサイト「tokono」が日本の木の家具を扱うのも、こうした「森の循環」や「職人の想い」をお客様に届けたいからです。
TSUYAMA FURNITUREは、「開かれた地域ブランド」を構築することを目的として設立されました。
津山の豊かな森林資源を守るために、行政、デザイナー、そして市内に拠点を置く木工メーカーが手を携え、深く連携している。それは、豊かな森林資源を未来に繋いでいくための大切な取り組みです。
2024年12月にオープンしたばかりのショールーム。 ぜひ、津山の冷たく清らかな空気と共に、この温もりある家具たちを体感しに行ってみてください。
【TSUYAMA FURNITURE ショールーム】岡山県津山市神戸67 有限会社松永建材店内 (10:00〜16:00 / 日・祝・第2・4土曜定休)
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