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知る

2025年10月09日

家具のお手入れ

木とともに、時を重ねる

木の家具は、私たちの暮らしの中で静かに息づき、季節の移ろいや日々の時間を映し出してくれる存在です。

その温もりや手触り、経年によって深まる色艶は、他の素材にはない魅力です。

ただし、美しい木の家具を長く楽しむためには、ほんの少しの「お手入れ」という心配りが欠かせません。

ここでは、オイル塗装仕上げを中心に、日々のケアのポイントと、長くご愛用いただくための基本をご紹介します。

 


■ オイル塗装仕上げの家具

オイル塗装は、木の持つ自然な質感を最大限に活かす仕上げ方法です。

木の表面を厚い塗膜で覆うのではなく、植物性のオイルを浸透させて保護するため、手に触れたときの温かみや、木本来の呼吸を感じることができます。

一方で、表面の保護層が薄いため、水分や汚れが染み込みやすいという特性もあります。

しかし、この“デリケートさ”こそが、オイル仕上げの魅力です。

日々の暮らしの中で、少しずつメンテナンスを重ねることで、表情に深みが増し、世界にひとつだけの風合いに育っていきます。


■ 日々のお手入れのポイント

 

 1.基本は「乾拭き」

毎日のケアは、やわらかい布での乾拭きが基本です。

ほこりや手垢をやさしく拭き取り、木肌の質感を保ちましょう。

特にダイニングテーブルのように使用頻度の高い家具は、食後などに軽く拭くだけでも十分です。


2. 軽い汚れは固く絞った布で

水を含ませた布をしっかりと絞り、汚れを拭き取ります。

その後、乾いた布でしっかりと水分を拭き取ることが大切です。

水分が残ると、輪じみや変色の原因になるため、拭き上げを忘れずに。


3. 定期的なオイルメンテナンス

半年から1年に一度を目安に、家具用の天然オイル(亜麻仁油・蜜蝋ワックスなど)を薄く塗布しましょう。

乾いた布に少量のオイルを含ませ、木目に沿ってやさしく擦り込むように塗ります。

全体に馴染ませたら、清潔な布で余分な油分を拭き取り、半日ほど乾かしてください。

これだけで木の潤いが蘇り、自然な艶が戻ります。


4. 熱と水には注意

熱いカップや濡れたグラスを直接置くと、白い輪染みができることがあります。

コースターやランチョンマット、カップソーサーなどを使って日々の習慣として守ることで、美しさを保ちやすくなります。

 


■ 木とともに暮らすということ

オイル仕上げの家具は、時間とともに少しずつ変化していきます。

それは決して「劣化」ではなく、木が呼吸を続けながら環境に馴染んでいく“成長”のようなものです。

小さな傷やシミも、その家具と過ごした時間の証として味わいに変わっていきます。

数年経った家具の表面に、柔らかな艶と深みが宿っているとしたら、それは手をかけてきた証。

道具でありながら、まるで家族のように年月を重ねていく。

それがオイル塗装の家具の最大の魅力です。


■ ウレタン塗装仕上げの家具

ウレタン塗装は、表面に透明な保護膜を作ることで、水や汚れに強く、お手入れが簡単な仕上げです。
日常的な拭き掃除だけでも美しさを保てるため、ダイニングやキッチン周りなど、実用性を重視する空間にも適しています。

ただし、ウレタン塗装は1度傷がついてしまうと部分的な補修が難しいという特徴があります。

オイル塗装と違って再生ケアが難しいため、ご自宅でのメンテナンスが難しい場合がございます。

tokonoではアフターケアのサービスもご用意しておりますので、ウレタン塗装の家具について補修が必要な場合はお問い合わせフォームにてご連絡ください。


■ 末永くご愛用いただくために

どんな仕上げの家具であっても、日々のちょっとした気づかいが、美しさを保ついちばんの秘訣です。

乾拭きを習慣にすること、直射日光や冷暖房の風を避けて配置すること、湿気のこもりにくい環境を保つこと。それだけでも、家具の寿命はぐっと長くなります。

木は、生きていた頃の記憶をそのままに、空気中の湿度や温度に反応しながら、今も暮らしに寄り添います。

その姿は、まるで季節のうつろいを共に感じているかのようです。

毎日手をかけ、磨きながら育てていく。

そんな時間の積み重ねが、やがてお客様だけの美しい家具の表情をつくり上げていきます。

 


■ おわりに

家具のお手入れは、決して難しいことではありません。

「気付いたときに、やさしく拭く」

たったそれだけの習慣が、何十年先の美しさを支えてくれます。

木の家具とともに、年月を重ねる楽しみを。

そして、その家具がご家庭の風景の一部として、穏やかな時間を刻んでいくことを願っています。