【REPORT】Meet up Furniture Asahikawa 2026 (3/3)
北海道・旭川で開催された「Meet up Furniture Asahikawa 2026」を通して、これまで大雪木工、匠工芸をはじめ、旭川のものづくりを支えるブランドや職人たちをご紹介してきました。
最終回となる今回は、軽やかなデザインと高い実用性を両立する家具メーカー「株式会社WOW」と、世界の家具デザインの未来を考える「IFDA2027 Design Conference」の様子をお届けします。
素材をどう生かすのか。 デザインと機能をどう両立させるのか。
そして、限りある資源とこれからのものづくりに、どのように向き合っていくのか。
今回の訪問では、単に美しい家具を見るだけではなく、その背景にある思想や、未来へつなぐための視点に触れることができました。
Meet up Furniture Asahikawa 2026シリーズの締めくくりとして、最後までぜひお付き合いください。
株式会社WOW
株式会社WOWは、「暮らしにフィットする家具づくり」を目指し、思わず「WOW」と言いたくなるデザインと機能を追求している家具メーカーで、1972年に旭川で誕生しました。
WOWの家具は全体的に軽やかで使いやすさを感じるものが多くあります。その一方で高いデザイン性も備えており、数々の受賞歴もあります。
素材へのこだわり
WOWの家具は無垢材はもちろんですが、多くに突板(つきいた)が使われています。
突板とは、天然木を0.2〜0.6mmほどの薄いシート状にスライスした木材のことです。
WOWでは家具の部分によって厚さの違う突板を使いわけ、強度とデザイン、加工性をバランスよく保っています。

たとえばこの「WAO TVボード」。
本体には表面には0.55mmにスライスされたエゾアッシュの突板を用いることで、軽量に仕上げながらも、表情豊かな木目を楽しめます。
暮らしに合わせ、合理的で、普遍的なデザイン。それがWOWの家具の強みです。
使われてこそ家具である

「デザインがどれほどよくても、使われなくては意味がありません。“つかいたい”をつくりたい」
WOWはそんな想いで家具をつくっています。
例えば「half chair Op.1」というチェアは、通常のチェアよりも座面の奥行きが半分ほどしかありません。
これは座る人の姿勢をまっすぐに保ちながら背骨を支えるためのもので、特にチェロ、バイオリン、フルート、ギターなどの楽器奏者の方々から高い評価を得ています。
このチェアのデザイナーのチョン・ウジン氏がIFDA(国際家具デザインコンペティション旭川)でゴールドリーフ賞を受賞し、その後、WOWが製品化。
2013年にはグッドデザイン賞を受賞しました。
また「flat chair」というチェアは【IFDA2021】旭川ケベック友好賞(Asahikawa Québec Award)の受賞作品で、直線的ですっきりと美しくシンプルでありながら、細かい箇所の仕上げに工夫を凝らし、高いデザイン性と座り心地を両立しています。

エゾアッシュ
WOWの家具に使用されている北海道産タモ材の「エゾアッシュ」。
冬の厳しい自然の中で年月をかけて美しい木目を育み、耐久性に優れています。使うほどに深みが増し、家具に個性をもたらします。
タモは力強い独特な木目が特徴で、WOWではこれを使用し多くの家具を生み出しています。
自然の資源には限りがあり、それに命を吹き込む。
自然に育まれた木を使い、多くの人の暮らしの中で使われるものを作ることで、また自然に還元されます。

さらに、WOWの家具は軽やかなデザインと高い実用性も兼ね備えています。
チェアはシャープな見た目から想像できないくらいしっかりとした座り心地があり、テーブルはコンパクトで無駄のないサイズ感。
合理的で普遍的な家具作りを目指すWOWだからこそ生まれる家具であると実感しました。

tokonoではflat chairやhalf chair Op.1などをお取り扱いしております。
ぜひ一度、ご覧ください。
IFDA2027 Design Conference

旭川デザインセンターでは、「IFDA2027 Design Conference」が開催されました。
1990年から35年以上、3年に一度開催し続け、世界の家具デザインの指針となってきたのが、「国際家具デザインコンペティション旭川 IFDA」です。
今回で13回目を迎える「IFDA2027」の募集が2026年7月1日より開始されるにあたり、審査委員長の倉本仁氏、審査委員の田根剛氏、セシリエ・マンツ氏が集まり、トークイベントが行われました。※ロナン・ブルレック氏は都合により欠席。
大変有意義な時間でしたが、特に私が印象に残ったのは、セシリエ・マンツ氏の「デザインで大切なことは、美意識と機能性のバランスを取ること」という言葉です。
デザインだけが良くても、機能性だけがあるのでもなく、それを良いバランスで両立したものが良いものづくりである。
当たり前のように聞こえるけれども最も難しいことだと思います。
昔は「必要なもの」を作っていたのに、いつからか「売れるもの」を作るようになり、不足する材料も出てきている。
そんな中で、今どんなものづくりをしていくべきか?そのようなことを次のIFDAの応募作品に期待しているという声があり、大変共感しました。
木に限らず、素材は有限です。
そんな資源をどのように活かし、次に繋いでいくのか。
それは木に関わる人たちすべての共通課題だと思います。

旭川デザインセンターでのササキ工芸の展示。
これまでの商品の変遷が紹介されており、過去に様々な試行錯誤があって今の形になっているのだということを実感しました。
おわりに
北海道の豊かな自然が育んだ木。その魅力を最大限に引き出す家具メーカーのものづくり。
今回の「Meet up Furniture Asahikawa 2026」を通じて私が感じたことは、「木を使うこと」の豊かさです。
それぞれのメーカーが試行錯誤と切磋琢磨を繰り返しながら、妥協せずにものづくりを続ける姿勢をこの目でみて、旭川が家具の聖地としてその歴史を脈々と受け継いできたことが理解できました。
そんな職人たちが、素材を見つめ理解し、国内外のデザイナーたちと協業しながら、北海道の豊かな自然に育てられた木を使ってつくる。
そうした背景が1つ1つに宿っています。
tokonoでは、これからも職人の皆さまの想いと確かな技術が詰まったプロダクトを、大切に皆さまの元へお届けしていきたい。
そんな気の引き締まる経験となりました。
皆さまの暮らしのパートナーとなる一品を、ぜひストーリーが詰まったtokonoのプロダクトたちの中から見つけてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。